マイナンバー制度における本人確認方法

マイナンバー法の核となる業務プロセスが、提供を受けた後の「本人確認」です。

この点確かに、「マイナンバーの確認だけでも大きな事務負担なのに、さらに本人確認まで必要なんて面倒すぎる!」という意見もあるかもしれません。

しかしながら、マイナンバー法施行後に強く懸念されるのは、いわゆる他人による本人の「成りすまし」です。「成りすまし」が可能であれば、マイナンバーを悪用し、本人に代わって、様々なことができます。

よって、他人が簡単に成りすませないように、法律上本人確認を厳格に求められています。

この本人確認は正しい番号であることの確認(番号確認)と手続を行っている者が番号の正しい持ち主であることの確認(身元確認)を行います。

本人確認の方法にはいろいろありますが、以下、対面での本人確認の方法を説明します。

まず、個人番号の確認のためには、①個人番号カードか②通知カードもしくは③個人番号が記載された住民票・住民票記載事項証明書等で確認をします。

また、身元確認には①個人番号カードか②運転免許証もしくは③パスポート等の写真付きの身元確認書類等で確認をします。

ここで重要なのは、個人番号カードがあれば、それ一つで番号確認と身元確認ができるということです。

個人番号カードの普及のために政府はマイナンバーカードを無料で配布する方針で、その中に個人の電子証明書も格納され、さらに将来的には健康保険証機能付帯等による利用拡大を図る予定のため、個人番号カードの取得が促進される可能性が高いです。

ただ、場合によってはそのような確認が困難な場合もあると思います。その場合、どうしたらよいでしょうか?

上記の確認が困難な場合、例外的に番号確認は過去に本人確認の上作成された、特定個人情報ファイルがある場合には、当該特定個人情報ファイルの確認で行えることになっており、実務上は一旦番号確認を正確に行えば、2回目以降は初回の記録への照合で行えるということです。また、同様に身元確認も雇用関係にあること等の事情を勘案し、人違いでないことが明らかと個人番号利用事務実施者が認めるときは、身元(実存)確認書類は要しないとなっています。

また、対面だけでなく、郵送、オンライン、電話といった非対面取引により個人番号を取得する場合にも、同様に番号確認と身元確認が必要となります。

犯罪による収益の移転の防止に関する法律の取引時確認とは異なり、非対面の本人確認において転送不要郵便による二次的確認は不要です。
次に扶養親族の本人確認に関してですが、内閣官房の資料は扶養親族のマイナンバーの本人確認が必要な場合と不要な場合の2つの場合を示しています。

前者は国民年金の第3号被保険者の届出を例示してありますが、事業者へのマイナンバーの提出義務者が第3号被保険者の場合であり、後者は扶養控除等申告書の提出を例示し、提出義務者が従業員の場合です。

つまり事業者への提出義務者が扶養親族か従業員かで本人確認の方法が変わるというものです。前者の場合、あくまでも扶養親族である第3号被保険者が提出義務者なので、会社が個人番号関係事務実施者として第3号被保険者の本人確認を行わなければならなくなります。

逆に後者の場合は、従業員が個人番号関係事務実施者として扶養親族のマイナンバーに対する本人確認を行うので、事業主は従業員の本人確認を行えば良いことになります。 ただし、前者の場合に扶養親族の本人確認を会社が行うことは現実的ではなく、今までのように従業員経由で書類をもらっていたような流れにならないか工夫することが考えられます。

この対応には2つの方法があり、扶養親族の代理人として従業員にマイナンバーを提出してもらうことと、逆に会社が従業員に本人確認を委託して従業員が本人確認を受託者として行うことです。
前者が事務の流れとしては自然であり、かつ今までと同様ではありますが、この場合は代理人が代理権を持っているかの確認が必要となります。

そこで従業員は扶養親族の法定代理人となるため、会社は当該従業員に対し、原則として戸籍謄本その他代理人となる資格を証明する書類の提出を会社は求めることになります。

ただし、その提出が困難な場合には、「個人番号利用事務実施者が適当と認める書類として本人の健康保険証などを想定」として代替策も今後厚生労働省から出る予定です。