1.マイナンバーの拒否は可能か

マイナンバー制の拒否について、マイナンバー制に反対だから、拒否したい、という方も多いようです。

しかしながら、マイナンバー制度は国の制度として行うものですから、基本的に制度そのものを拒否することはできません。

制度そのものを変えたいのであれば、国会で法改正をするしかないですから、政治的に解決するほかはありません。

 

2.マイナンバー制を拒否したいと思う方が少なくない背景

 

①アメリカ、韓国等の海外では、番号を悪用したなりすまし犯罪も多い

②個人情報漏洩は、必ず起きるから心配

③マイナンバーで国に監視されるのは嫌だ

④ゆくゆくは、銀行口座とつなげて、自分の財産が国に筒抜けになるのが嫌だ

等々がマイナンバー拒否の背景にあります。

 

3.マイナンバー通知カードの受領拒否の影響について

 

ネット上では、マイナンバー通知カードの受領拒否運動がなされているようです。

確かに、今年10月5日から簡易書留で番号を通知する「通知カード」が送付される予定で、この簡易書留の受け取りを拒否すれば、通知カードが総務省経由で市区町村役場に戻っていくことになります。

しかし、これは郵便局や市役所の手間がかかるだけで、住民票に記載されたマイナンバーが消されるわけではありません。別にマイナンバーのシステム上は受領拒否者のマイナンバーの利用ができなくなる、という直接の効果はありません。

また、マイナンバーそのものの受け取りを拒否することは、実際のところ、自分が税金や社会保険の手続きで困る事につながります。

例えば、年金手続きを例にとって見ましょう。

まず、厚生労働省は、全ての年金をマイナンバーで処理する方針で、従来の年金番号は早晩マイナンバーに移行してしまいます。

そうすると、来年以降、年金の給付の請求等の年金の手続をおこなう際には、ほぼどんな手続においてもマイナンバーが必要となります。

ここで、マイナンバー通知カードの受け取りを拒否した上で、来年以降に年金だけを受け取ることは可能なのか?という疑問がわいてくる方もいるかもしれません。

実際、これは可能だと思われます。

このようなケースの場合は、手続の際に、マイナンバー付きの住民票を取得して、その住民票のマイナンバーを使って手続をおこなえば良いです。

ただし、結局のところ、マイナンバーがわからないと原則手続きができない、という点においては同じ、ということにはなります。また、住民票を取りにいく手間が増えることにはなります。

 

4.マイナンバー通知カードの受領拒否についての罰則

では、マイナンバー通知カードの受領拒否や従業員が雇用主にマイナンバーの通知を拒否した場合、罰則はあるのでしょうか?

2015年6月現在は、個人情報を教えるのが嫌だ、という理由で従業員マイナンバーを雇用先の会社に教えない、といったことを行ったとしても、当面刑事罰や行政罰は科さない、ということになっています。

しかしながら、制度開始後、マイナンバーを知らせなくても事実上手続き可能にしてしまうと、誰も面倒な事をやらなくなり、制度そのものが成り立たなくなってしまいます。

ですから、将来的には罰則等をつける形で、マイナンバー拒否はできなくなっていくのではないか、と思われます。