1.マイナンバー法では、様々な安全管理措置が必要

マイナンバー法は社会保険や税の分野で必要な時に、番号を取得して使うだけではいけません。

マイナンバー制度が適正に運営されるようにするために、会社経営者や個人事業主等の事業主には、特定個人情報を収集・保管・提供できる範囲や、特定個人情報ファイルを作成できる範囲などが制限されるほか、個人番号の提供を受ける際の厳格な本人確認、各種の安全管理措置への取り組みなどが求められています。

このことは、一般の会社の社長さんはご存知でない方も多いので、注意が必要です。

 

2.マイナンバー制度による規制の具体的内容

 

①利用・提供・収集の制限

・マイナンバーの利用範囲は、法律に規定された社会保障、税及び災害対策に関する事務に限定されます。本人の同意があっても、左記目的以外に使うことは認められません。
・社会保障及び税に関する手続書類の作成事務を行う必要がある場合に限って、本人などに対してマイナンバーの提供を求めることができます。必要でない場合に、「一応」マイナンバーカードのコピーをもらうといったことはできません。
・法律で限定的に明記された場合を除き、特定個人情報を提供してはいけません。また、法律で限定的に明記された場合を除き、特定個人情報を収集してはいけません。

 

②保管・廃棄の制限

・法律で限定的に明記された場合を除き、特定個人情報を保管してはなりません。なくしたら困るから一応保管しておくことはできません。
・社会保障及び税に関する手続書類の作成事務を処理する必要がなくなり、所管法令において定められている保存期間を経過した場合は、マイナンバーをできるだけ速やかに廃棄又は削除しなければなりません。廃棄、保管をうっかり忘れただけでも法律違反になりますので、注意が必要です。

 

③厳格な本人確認

・マイナンバーを取得する際は、利用目的を特定し、明示する必要があります。 何に使うかを相手に明示せず、会社の事業に必要だから等、あいまいな理由での取得は認められません。
・マイナンバーを取得する際は、他人の成りすまし等を防止するため、厳格な本人確認が求められます。免許証等での本人確認をせず、マイナンバーのみを書いてもらう等はしてはいけません。

 

③安全管理措置

・会社経営者、個人事業主等の事業者は、マイナンバー及び特定個人情報の漏えい、滅失又は毀損の防止その他の適切な管理のために、必要かつ適切な安全管理措置を講じなければなりません。また、従業者に対する必要かつ適切な監督も必要です。事業主本人だけでなく、従業員に対してもしっかり監督しないと、監督責任を問われます。
・社会保障及び税に関する手続書類の作成事務の全部又は一部の委託をする者は、委託先において、法律に基づき委託者自らが果たすべき安全管理措置と同等の措置が講じられるよう必要かつ適切な監督を行わなければなりません。これは会社内だけでなく、会社外の情報管理、監督まで必要ということです。非常に重い規定です。
・社会保障及び税に関する手続書類の作成事務の全部又は一部の委託を受けた者は、委託者の許諾を得た場合に限り、再委託をすることができます。再委託の場合、自社の判断だけで再委託はできませんので、注意が必要です。